砂糖は「含みつ糖」と「分みつ糖」に大別される。黒糖とは、沖縄県、鹿児島県の離島で主に生産される含みつ糖の代表的なもので、サトウキビの搾り汁をそのまま煮沸濃縮し、加工しないで冷却して製造したもの。成分としては糖分のほかカリウム、カルシウム、鉄など多くのミネラルを含み、特有の香味がある。 黒糖は黒酢、黒蜜、コーヒーや紅茶の甘味料など幅広く利用されている。
青い空の下、広がるさとうきび畑。風にそよぐ緑の葉は沖縄の風情を感じさせます。沖縄で黒糖が作られるようになったのは約300年前の江戸時代。製法を中国から学び、さとうきびの栽培も全土で盛んになりました。以来、さとうきびは沖縄を代表する農産物となり、県の半分の耕地に植えられています。
しかし、今ではその大半が上白糖などの原料(粗糖)の製造に使われ、黒糖になるのは5〜6%ほど。かつて数百あった黒糖工場も1970年代以降急速に減少しました。現在、黒糖を製造し県外に出荷しているのは伊平屋島、伊江島、粟国島、多良間島、小浜島、西表島、波照間島、与那国島の8つの島のみです。
各島の製法には大きな違いはありませんが、島の土壌や天候、さとうきびの栽培方法などが色、形、味、香り、食感と黒糖の味や特徴に直結しています。
沖縄黒糖の栄養
上白糖やはちみつなどに比べ、黒糖はビタミンやミネラルを豊富に含んでいます。主成分はこれら甘味料と同じように炭水化物でエネルギー源となりますが、毎日の生活の中で黒糖を取り入れると、健康に不可欠なビタミンやミネラルも少しずつですが、同時に摂取することができます。
丈夫な骨を作るカルシウム
豊かな食生活の日本でも不足しがちな栄養素が、カルシウムです。黒糖にはそのカルシウムが、上白糖の240倍もあります。カルシウムは骨や歯を作るために重要な栄養素であり、成長期の子どもや骨粗しょう症予防のためにも、特に女性は十分な摂取が必要です。また、黒糖には骨の代謝に必要なマグネシウムやリンもわずかに含まれています。牛乳と黒糖の組み合わせは、カルシウムの吸収率を高めるので相性が良いです。
脳にすぐ届くエネルギー
仕事や勉強で脳が疲れて集中力が切れたとき、黒糖は強い味方です。脳のエネルギー源はブドウ糖ですが、ご飯やパンからのブドウ糖摂取には時間がかかります。しかし、黒糖の糖分は素早くブドウ糖と果糖に分解されます。さらに、黒糖にはブドウ糖をエネルギーに変えるのに必要なビタミンB1やナイアシンも含まれています。つまり、黒糖を摂取するとエネルギーが脳に迅速に届き、疲労を回復させてくれます。黒糖は受験生など、頭を使う人に最適なおやつといえるでしょう。