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桃林寺

(とうりんじ)

八重山最古の仏教寺院

桃林寺は、沖縄県石垣市にある、八重山列島で最も古い仏教寺院の一つです。1614年、琉球王国第二尚氏王朝7代目国王の尚寧王によって創建され、首里の円覚寺の住僧であった鑑翁西堂が開山となりました。

境内には桃林寺とともに創建された権現堂があり、仏教寺院と熊野信仰が隣接する独特の歴史的景観を見ることができます。

長い歴史の中で明和の大津波や台風、第二次世界大戦などによる被害を受けましたが、そのたびに修復・再建が行われ、現在まで大切に受け継がれています。

尚寧王によって創建された寺院

桃林寺は1614年、薩摩藩から八重山における社寺建築についての進言を受けた琉球王府によって創建されました。

開山となった鑑翁西堂は、首里にあった臨済宗妙心寺派の円覚寺の住僧でした。本尊である銅造観音像と、権現堂の御神体となる宝鏡三面を携えて八重山を訪れ、桃林寺の住持を務めました。

1713年に成立した『琉球国由来記』には、桃林寺は円覚寺の末寺、権現堂は波上宮の末社として記されています。

臨済宗の寺院として受け継がれた歴史

桃林寺には、寺院の宗派をめぐる興味深い歴史も残されています。

1782年、鹿児島の真言宗寺院である大乗院から、桃林寺を真言宗の寺院とするよう首里王府へ申し入れがありました。しかし王府は、創建以来臨済宗であり、改宗すれば民心を不安にさせるとして、この申し入れを断ったとされています。

こうして桃林寺は、創建以来の臨済宗寺院としてその歴史を受け継いできました。

明和の大津波と桃林寺の再建

1771年の明和の大津波は八重山地方に甚大な被害をもたらし、桃林寺と権現堂の建造物も流失しました。

桃林寺は翌1772年に再建され、権現堂も1786年に再建されました。津波によって多くの仏像が流されましたが、文殊菩薩像や仁王像2体は崎枝湾の海岸で発見されたと伝えられています。

一度は海へ流された仏像が再び見つかり、修復されて現在まで残されていることからも、桃林寺の歴史の長さと地域の人々による保存への思いが感じられます。

境内を守る桃林寺仁王像

桃林寺を訪れた際にぜひ注目したいのが、山門に安置された桃林寺仁王像です。

仁王像は1737年に久手堅昌忠によって制作されたもので、八重山列島産のオガタマノキが用いられています。沖縄県内に現存する最古の木彫像として知られる貴重な文化財です。

金剛力士像と密迹力士像

山門に向かって左側が金剛力士像、右側が密迹力士像です。

1771年の明和の大津波によって流されましたが、崎枝湾の海岸で発見されました。手足などが破損したため蔵元で保管され、その後、大浜善巧によって修復されたと伝えられています。

1956年には琉球政府の重要文化財に指定され、本土復帰後には沖縄県指定有形文化財となっています。

桃林寺の建築と境内

桃林寺本堂と権現堂の屋根は、創建当初は茅葺きでした。その後、桃林寺本堂は1694年、権現堂は1703年に瓦葺きへと改められました。

1736年から翌年にかけて境内が拡張され、仏殿が建立されるなど、寺院としての整備が進められました。山門の仁王像が制作されたのも、この時期です。

桃林寺は1881年にも改築され、現在の本堂は1968年に改築された建物です。

権現堂に祀られる熊野権現

桃林寺の境内には、寺院と深い関わりを持つ権現堂があります。ここには熊野権現として、伊弉冉尊・速玉男尊・事解男尊が祀られています。

現在の御神体である銅鏡は1772年に鋳造されたもので、沖縄県内に残る古い銅鏡の一つとされています。

独特の意匠を持つ権現堂

権現堂の神殿は三間社流造・本瓦葺で、牡丹を浮き彫りにした肘木、波や鬼を彫刻した板蟇股、唐獅子を配した登高欄など、独特の装飾が施されています。

こうした意匠には本土の神社建築とは異なる特徴が見られ、琉球と日本本土の文化が交わった八重山ならではの建築文化を感じることができます。

拝殿と附表門

拝殿は桁行三間、梁間二間の寄棟造で、本瓦葺となっています。現存する建物は1786年の再建によるものとされていますが、1882年の神殿改修時に建て替えられた可能性も指摘されています。

また、権現堂には附表門も残されています。一間薬医門、切妻造、本瓦葺の建物で、桃林寺の山門とは異なる形式を持っています。

戦争と台風を乗り越えた権現堂

権現堂は1882年に神殿の改修が行われましたが、第二次世界大戦では大きな被害を受けました。戦後の1947年に修復され、1972年にも神殿の解体修理や拝殿の屋根葺替えなどが行われています。

さらに2006年の台風13号によって権現堂神殿が破損しましたが、文化庁の国庫補助を受けて保存修理が実施され、2008年に修理が完了しました。

こうした幾度もの修復を経ながら、桃林寺と権現堂は八重山の歴史を伝える貴重な文化財として守られています。

国指定重要文化財の権現堂

権現堂は、歴史的・文化的価値が高く評価され、1981年6月5日に国の重要文化財に指定されました。

神殿だけでなく、拝殿や附表門なども含めて保存されており、八重山に残る歴史的な建築を知るうえで貴重な存在となっています。

八重山の歴史と信仰を伝える寺院

桃林寺は、400年以上にわたる歴史を持つ八重山を代表する古寺です。琉球王国による創建、明和の大津波からの再建、戦争や台風を乗り越えた文化財の保存など、境内には長い歴史の歩みが刻まれています。

山門の仁王像や権現堂など、貴重な文化財を実際に目にすることで、八重山が琉球王国や日本本土、さらには海外との交流の中で育んできた独自の文化を感じることができます。

石垣島の市街地からも訪れやすく、歴史や寺社建築、琉球・八重山の信仰文化に触れたい方におすすめの観光スポットです。

Information

名称
桃林寺
(とうりんじ)
住所
沖縄県石垣市石垣285
電話番号
0980-82-2142
アクセス

石垣港から徒歩で15分

石垣島

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