『おもろさうし』にも謡われた知念城
知念城は、琉球語で「ちねんグスク」とも呼ばれ、12世紀末から13世紀にかけて築城されたとされています。代々、この地域を治めた知念按司の居城として使われてきました。
知念城跡は、沖縄最古の歌集とされる『おもろさうし』にも謡われています。古くから地域の政治や信仰、文化と深く関わってきた場所であり、現在も知念地域の歴史を伝える重要な史跡です。
二つの郭からなる城跡
知念城跡は、大きく古い城と新しい城という二つの郭から構成されています。
古い城は自然の形を残した石を積み上げた造りで、新しい城では、一定の形に切りそろえた石を整然と積み上げる切石積みが用いられています。異なる石積みを見比べることで、城が長い時間をかけて整備されてきたことがうかがえます。
見どころは美しい石造アーチ門
知念城跡で特に印象的なのが、正門と裏門に残る石造りのアーチ門です。
美しく組み上げられた石のアーチは、知念城跡を象徴する景観の一つです。石垣と自然が調和した城跡を歩きながら、琉球のグスクに特徴的な建築技術を感じることができます。
発掘調査から明らかになった歴史
知念城跡では、平成14年度から発掘調査が行われ、13世紀から15世紀を中心とした土器や輸入陶磁器、金属製品などが出土しています。また、骨類や貝類なども発見され、当時の人々の暮らしを知る手掛かりとなっています。
さらに、この場所は明治時代まで番所や学校などとして利用されていたことから、中世から近代に至るさまざまな時代の遺構が重なっています。発掘調査によって、知念城跡が長い歴史の中で姿を変えながら利用されてきたことが分かっています。
知念按司墓とウファカル
城跡の周辺にも、知念地域の歴史や文化を伝える見どころがあります。
正門から北西へ約300メートル離れた崖の下には、知念按司墓があります。知念城を治めた知念按司との関わりを感じられる場所です。
また、その近くには「ウファカル」と呼ばれる泉があります。玉城の「受水走水(うきんじゅ・はいんじゅ)」と同じように、稲作発祥の地とされている場所の一つです。
石畳の道と古屋敷が残る城跡周辺
知念城の外側には、石畳を敷いた道と古い屋敷跡が点在しています。
城そのものだけでなく、周辺の道や屋敷跡、墓、泉などを合わせて見ることで、かつての知念地域の暮らしや文化をより身近に感じることができます。
1972年に国の史跡に指定
知念城跡は、その歴史的価値が認められ、1972年5月15日に国の史跡に指定されました。
現在も、石垣やアーチ門などの遺構を通して、琉球王国以前から続く知念地域の歴史を伝えています。
琉球の歴史を感じながら歩く城跡
知念城跡は、美しい石造アーチ門をはじめ、古い石積みや切石積み、周辺の古屋敷、知念按司墓、ウファカルなど、さまざまな歴史的要素が残る城跡です。
『おもろさうし』に謡われた知念按司の居城としての歴史に加え、発掘調査から明らかになった人々の暮らしや、地域に伝わる稲作発祥の伝承など、多角的に琉球の歴史と文化を感じることができます。
南城市を訪れた際には、自然と歴史が調和した知念城跡の美しいアーチ門と石垣を眺めながら、古くから受け継がれてきた知念の歴史に触れてみてはいかがでしょうか。