沖縄で”グルクン”と呼ばれるのは、標準和名を”タカサゴ”というフエダイ科の魚で、沖縄の漁港では一年中水揚げされている肉厚の白身魚だ。地方によってはアカムロ(高知)、メンタイ、アカメンタイ(和歌山)、チャムロ(三重)、アカウルメ(奄美大島)などの別名がある。浅い海のサンゴ礁や岩礁で群れをなし、活発に泳ぎ回る。雑食性で、小動物やプランクトンを食べる。生体の体色は青緑がかっているが、休息時や興奮している時、水揚げされた時などには体色が赤みを帯び、生体を見たことがない人にとっては、赤っぽい魚として認識される。グルクンは、沖縄の県魚にも指定されており、「アギヤー」と呼ばれる伝統漁法でとられている。グルクンの料理で最もポピュラーなのが、内臓を取ったグルクンをまるごと揚げる”から揚げ”。エラとハラワタを取り除いた後、身と背骨の部分を分け、塩や小麦粉をまぶして揚げる。見た目も面白く、カリッとした衣をまとった淡白な白身は、頭から尾まで丸ごと食べられる。あっさりとした味わいは飽きることがなく、レモンや沖縄特産のシークワーサーの搾り汁をかけても合う。その他にも、新鮮なものは刺身やたたきで食べられ、煮付けや塩煮(塩味で煮て、酢じょうゆで食べる)といった料理でも食べられている。