庶民に親しまれた素朴なお菓子
タンナファクルーの誕生には、琉球王家の高級菓子「クンペン」が関係しているといわれています。クンペンは胡麻餡を使った上品な菓子でしたが、庶民にとっては手の届きにくい存在でした。
そこで、クンペンの代わりとして、餡を使わずに黒糖や小麦粉など身近な材料で作られた菓子がタンナファクルーとして生まれたとされています。素朴な材料と製法で作られることから、日常のおやつとして広く親しまれるようになりました。
明治時代に考案されたタンナファクルー
タンナファクルーは、明治20年(1887年)に、首里で菓子商を営んでいた沖縄の製菓メーカー「丸玉」の創業者、玉那覇二郎によって考案されたとされています。
黒糖、小麦粉、卵などを使って作られた焼き菓子は、手頃で親しみやすい味わいから徐々に広まり、沖縄の庶民菓子として定着していきました。
名前の由来は「玉那覇」と「色黒」
「タンナファクルー」という特徴的な名前にも、誕生した当時のエピソードが伝えられています。
創業者の家名である「玉那覇」は、沖縄の方言で「タンナファ」と呼ばれていました。そして、色黒だった二郎のあだ名が「クルー」だったことから、「タンナファクルー」と呼ばれるようになったとされています。
黒糖の香りと独特の食感
タンナファクルーは、しっとりとした生地でありながら、少し粘り気があり、しっかりとした噛みごたえを楽しめるのが特徴です。口にすると黒糖の香ばしく豊かな風味が広がり、素朴ながらも印象に残る味わいです。
焼き菓子ならではの香ばしさと黒糖のコクが調和しており、お茶やコーヒーのお供にもよく合います。どこか懐かしさを感じさせる味わいも、長く愛されてきた理由の一つです。
沖縄の歴史を感じる郷土菓子
高級な宮廷菓子を身近な材料で作れる庶民のお菓子へと変化させたタンナファクルーには、琉球王朝時代から続く沖縄のお菓子文化が息づいています。
現在も沖縄の伝統的な焼き菓子として親しまれており、沖縄旅行の際には、昔ながらの素朴な味わいとともに、地域に受け継がれてきた食文化を感じられるお土産として楽しめます。